
僕はとある通所施設(いわゆるデイサービス、デイケア)で介護職員として働いています。
介護の仕事は3K(きつい、汚い、危険)そしてなおかつ、
給料が安いということで、皆様もご存じのとおりかと思います。
しかし、昨今の介護職員に大きな変化が出てきています。
タイトルにも書いてある通り給料が上がってきているのです。
なぜ上がってきているのか?
それは、介護職員処遇改善加算という制度に少し修正が加えられたからなのです。
細かい説明は後程行いますので、まずは僕の実例を聞いていただければと思います。
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処遇改善加算によってもらえる金額
これはあくまでも僕が勤めている施設の一例であって、事業所によって金額に違いは出てくるのですが、
僕の年収はざっくりと60万円ほど上がりました。
ざっくりという表現なのは、介護職員処遇改善加算という制度に修正が加わってから一年経っていないため、推測の域でしか話をできないからです。
ただ、僕の施設では処遇改善加算で得られたお金を半年毎に分配するというルールで行っており、今回の半年分で得られる金額が30万円ほどなので、このまま特に変わりがなければ次も30万円近くもらえることとなり、結果的に一年で60万円という金額になるというわけです。
年収60万円アップですよ?12ヶ月分で割ったとしてもひと月に5万円じゃないですか。
俺の役職手当より高いんだが?
まあこの際、お金がもらえるんだから細かいことは気にしないけどさ・・・
そもそも介護職員処遇改善加算とはなんなのか?
制度を知ったところでどうなる話でもないんですが、一応説明はしておきます。
介護職員処遇改善加算というのは、国が介護職の人手不足を解消するためにとった施策です。
介護職の給料を上げて人材を確保しようというわけですね。
簡単なイメージとしては、
事業所「こういう計画で職員を教育していくのでお金下さいな」
国「ふむふむ毎月研修を行うんですね。職員の評価はどのようにしていくんですか?」
事業所「この評価シートを使います」
国「なるほど、良いと思います」
事業所「あざっす!」
的な感じです。綿密な職員教育を計画し、それを提出すればお金がもらえるということです。
細かいことをいうと、キャリアパス要件がうんたらかんたらって話になるんですけど、現場の職員が携わることでもないですし、気にしなくていいと思います。
どうしても詳しく知りたいって人はググって下さい。
処遇改善加算で事業所が得られる金額は売り上げに比例してきます。
利用者が多い事業所ほど、金額は高くなるということですね。
ちなみにですが、処遇改善加算で得たお金は全て職員に還元しなければなりません。
処遇改善加算の計算
処遇改善加算は介護報酬の合計の○○%という計算で決まります。
ここのパーセントの数字は介護保険サービスの種類によって決まっています。
もっと細かく言えば、一つのサービスの中で五段階に分かれているので、どれを算定しているのかにもよってパーセントは変わります。
僕が働いている施設はデイケアで、処遇改善加算Ⅰを算定していますから、4.7%となっています。
ちょっと言っている意味が分かりませんよね?
例えば、要介護1の方が一日くると700単位もらえるとします。
週に三回くれば2100単位。一カ月で8400単位となります。
8400単位×4.7%=394.8単位
単位は1単位で10円と考えて頂ければいいので、実際の金額は3948円となります。
これが利用者一名あたりで得られる処遇改善加算の金額となるので、事業所の登録利用者数が80人いるのであれば、3948円×80人=315,840円となります。
一カ月でこの金額なので、半年分で考えると1,895,040円となります。
僕の施設ではもう少し介護度の高い方が多いため、実際の金額は250万円弱くらいです。
介護報酬(売上)が上がれば上がるほど、処遇改善加算で得られる金額も増えていきます。
施設の規模によって利用定員が決まっているので、無限にあがるというわけにはいきませんが。
どのように分配するのか?
処遇改善加算で得られたお金をどういう風に分配するのか?
これは各事業所に任されています。
僕の施設では均等に振り分けていますが、職員の能力に応じて多少の金額差はついています。
先ほどの250万円を9人で割ると27万円くらいになります。
これを基準値として、有資格者や頑張っている人には+20% やる気がない人や無資格者は-20% といった具合に数万円の差はつけています。
もちろん差をつけるということは職員全員に事前に告知しています。
アルバイトやパートでも貰えるのか?
先ほども言ったように「各事業所に任されている」ということは、バイトやパートにあげるかあげないかも施設の自由ということです。
僕の施設では(自分の話ばかりで本当に申し訳ない)常勤職員よりも金額は減りますが、一応はもらえます。ただ、入浴のみを担当するパートは時給がめちゃくちゃ高いので、もらえないことになっています。
この辺の理由は僕も納得いかない部分が多く、「介護職員だからもらう権利はあるのではないか?」と思ったりもするんですが、事業所に分配方法を任せている時点で誰も文句は言えないんですよねー。
これから介護のバイトしてみようと思っている人は、事前に確認した方がいいかもしれませんね。
意外と世間では認知されていない
これだけ介護職の給料を底上げしているのにもかかわらず、介護現場の人手不足はほとんど解消されていません。なぜなのか?
知らないんだもん
現場の職員ですら処遇改善加算ってなんですか?って聞いてくるレベルですよ。
そんなの介護関係者じゃない一般ピーポーが知ってるわけないじゃないですか。
僕の施設は病院に併設されているんですけど、病院にも、もちろん介護職はいます。
ただ、この方たちは医療保険の分野になってしまうため、処遇改善加算なんてものは存在せず、当然お金だってもらえません。
なのになぜ病院で介護の仕事をしているのか?
だって知らないんだもん
医療従事者ですら知らないという事実。おそろしや
ちなみに、厚生労働省のホームページには月額3万7千円相当と書いてありますけど、実際の分配方法が事業所ごとに異なるのであれば、こんな金額知ったところで何の意味もない。
もう少し世間からの認知度が上がれば、求職者も増えてくるのかなーなんて淡い期待を抱いております。
これから介護の仕事をしようと思っている方は気を付けて!
前述したとおり、処遇改善加算の具体的な内容は意外と認知されていません。
施設の求人ページを開いても給料に関する記載に処遇改善の事が一切書かれてないことも多くあります。
僕としては、就職する前に必ず確認することをオススメします。
確認する内容は
・処遇改善加算の区分(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ)
・一人あたりがもらう金額はどのくらいなのか?
この二点です。
アルバイトやパートで働こうと思っている方は、もちろんもらえるか確認した方がいいです。
ではこの二点を詳しく書いていきたいと思います。
処遇改善加算の区分(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ)
この区分で処遇改善加算のパーセントが変わります。
Ⅰという区分が一番大きなパーセントになるので、事業所として獲得する金額も大きくなります。
ただ、いくらパーセントが高くてもその事業所の売り上げが引くければ当然、処遇改善加算で入ってくる金額も少なくなるので注意が必要です。
今はほとんどの介護保険事業所がⅡ以上の区分で取っているとの話も聞いた事がありますが、所詮は噂なので、確認した方が良いでしょう。
一人あたりがもらう金額はどのくらいなのか?
これは正直に言って聞くのがかなりいやらしいですけど、今後働くことを考えれば聞いておいた方が自分の為になるんじゃないかと思います。お金の事ですからね。
「能力が高く、頑張っている人にはかなり分配する」という事業所なのであれば、働くモチベーションに繋がるので、働きマンには良いかと思います。
毎日頑張って働いて、資格も取ったのに「処遇改善加算のお金は平等に分配します」なんて言われたらやるせない気持ちになっちゃいますからねー。
忘れてはいけないのが、「処遇改善加算が高い=売り上げが高い=忙しい」ってことですからね。
処遇改善加算は今後どうなる?
実はこういった介護職の賃金の低さを改善するという策は平成21年から始まっており、最初は交付金という形で支給していました。
これまでは支給金額の全額を国が負担していましたが、平成24年からは処遇改善加算という名称に変わり、実際に介護保険を利用している方に一割を負担してもらうことになりました。
利用者一人ひとりで考えれば大した負担にはなっていないため、今後の継続は難しくないように感じます。
というよりも、ここまで上がってしまった金額を無しにしてしまうという事は、それこそ既存の介護職員の離職に繋がってしまう恐れもあるのではないでしょうか。
ただ、現場から見てみると処遇改善加算には大きな問題があって、
例えば
・介護の手伝いをしているのに事務員だからもらえない
・デイに所属しているPTやOTがトイレ介助等、介護職となんら変わりない業務をしていたとしても、介護職員ではないからもらえない
・介護の業務はほとんど行わない事務員だが人員の都合上、介護職員として登録されているからもらう権利はある
などなど、「何を持ってして介護職員なのか?」が、とても不明確なんですよ。
こういった矛盾点もこれからはっきりとさせていく必要はあるんじゃないかと思いますね。
個人的には続く(続いてほしい)と思っていますが、介護保険はすぐに変更になってしまうことも多いので何とも言えませんね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
この記事がお役に立てれば幸いです。